
特集
2008-12-31 14:46:06
福島康司物語 Part 2
「出会い、そして転機」
ハーモニカは手軽で持ち運びができるため「退屈しのぎに」と始めた。
上達するにつれて誰かに聞かせたくなり、京都の街角で路上ライブを行うようになった。
その時の様子を康司は、
「ライブと言うより流しだった。大学に行かないで、夕方になったらママチャリに乗って街へ繰り出し、夜中までハーモニカを吹いていた。聴衆の中で、先日娘を嫁に出したというサラリーマンの男性に『秋桜』をリクエストされて、心を込めて吹いたら涙を流して聴いてくれたこともあったし、気が付いたら足元に置いた僕の帽子に5000円くらい入っていた時もあった。目をつむって吹いていたら、ヤクザにぶん殴られたこともあった」
と様々な人と触れ合った経験と重ねて語る。
流しのハーモニカ吹きは続けていたが、学校へ行かず自信喪失で引きこもり気味だった康司を見かねて、大阪の両親が実家に連れて帰ることになった。
帰省先で、康司は知的障害を持った子どもたちが働いている共同作業所でアルバイトを始めることとなった。働きながら子どもたちとの交流で心を開いていった。仕事に没頭することで集中力が高まり、徐々に自信を取り戻していった。
そして康司は、
「このままではいけない」
と大学を卒業することを決意。兄から自転車を譲ってもらい、大阪から京都の大学まで毎日、自転車で通うことにした。同時に作業所では子どもたちとランニングすることを始め、一時90キロもあった身体は次第に引き締まっていった。
卒業前に陸上競技の記録会に出場してみたところ、1万メートル走でこれまでの自己ベストを30秒以上更新する記録を出した。
「このタイムで走っていたら、大学駅伝のメンバーにも選ばれていたかもしれない。自分の記録にびっくりした」
と康司は言う。
実力は充分にあったのだ。ただケガが原因で自分を見失っていただけだったのだ。
この出来事が康司の心を揺さぶった。
「卒業後は障害者介護の道へ進もうと考えていた。その半面、すでにヨーロッパに行ってロードレースをしていた兄ちゃんが羨ましかった。自分も悩んだけれど、今しかできないことは自転車だと思ってやることを決意した。」
引きこもりだった康司だが、陸上競技で自己ベストを更新したことで、「やればできる!兄ちゃんを追って自転車をやりたい!」という気持ちが出てきたのだ。
大学を5年半で卒業した24歳の康司。兄・晋一の勧めで自転車クラブ『チームリマサンズ』に入り、いよいよ康司の自転車競技生活が始まる。
Part 3へつづく
ハーモニカは手軽で持ち運びができるため「退屈しのぎに」と始めた。
上達するにつれて誰かに聞かせたくなり、京都の街角で路上ライブを行うようになった。
その時の様子を康司は、
「ライブと言うより流しだった。大学に行かないで、夕方になったらママチャリに乗って街へ繰り出し、夜中までハーモニカを吹いていた。聴衆の中で、先日娘を嫁に出したというサラリーマンの男性に『秋桜』をリクエストされて、心を込めて吹いたら涙を流して聴いてくれたこともあったし、気が付いたら足元に置いた僕の帽子に5000円くらい入っていた時もあった。目をつむって吹いていたら、ヤクザにぶん殴られたこともあった」
と様々な人と触れ合った経験と重ねて語る。
流しのハーモニカ吹きは続けていたが、学校へ行かず自信喪失で引きこもり気味だった康司を見かねて、大阪の両親が実家に連れて帰ることになった。
帰省先で、康司は知的障害を持った子どもたちが働いている共同作業所でアルバイトを始めることとなった。働きながら子どもたちとの交流で心を開いていった。仕事に没頭することで集中力が高まり、徐々に自信を取り戻していった。
そして康司は、
「このままではいけない」
と大学を卒業することを決意。兄から自転車を譲ってもらい、大阪から京都の大学まで毎日、自転車で通うことにした。同時に作業所では子どもたちとランニングすることを始め、一時90キロもあった身体は次第に引き締まっていった。
卒業前に陸上競技の記録会に出場してみたところ、1万メートル走でこれまでの自己ベストを30秒以上更新する記録を出した。
「このタイムで走っていたら、大学駅伝のメンバーにも選ばれていたかもしれない。自分の記録にびっくりした」
と康司は言う。
実力は充分にあったのだ。ただケガが原因で自分を見失っていただけだったのだ。
この出来事が康司の心を揺さぶった。
「卒業後は障害者介護の道へ進もうと考えていた。その半面、すでにヨーロッパに行ってロードレースをしていた兄ちゃんが羨ましかった。自分も悩んだけれど、今しかできないことは自転車だと思ってやることを決意した。」
引きこもりだった康司だが、陸上競技で自己ベストを更新したことで、「やればできる!兄ちゃんを追って自転車をやりたい!」という気持ちが出てきたのだ。
大学を5年半で卒業した24歳の康司。兄・晋一の勧めで自転車クラブ『チームリマサンズ』に入り、いよいよ康司の自転車競技生活が始まる。
Part 3へつづく
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